微笑みの人

笑顔を浮かべれば、友達ができます。でも、しかめ面を浮かべれば、しわができます。

                            ジョージ・エリオット

 

 最近、白髪が増えました。目じりにもしわが増えました。あいさつをすると頭頂部の薄毛が気になるほどに。また体中の筋肉が衰えました。息子に「とうさん、昆虫爺さんになったね」と笑われるほどに。それで、そっと、白髪染め。眉毛にも、手を入れました。人は見た目がある程度の初対面の印象を決めますから。メラビアンの法則です。

 

 これではいけない。楽しくない。と、思い煩い、焦りますと、ますます白髪もしわも増えるのです。つまらない後ろ向きの思い煩いに心が泣いてしまう時、世界は暗く見える。しわしわの世界です。

 君が笑えば、世界は君とともに笑う。君が泣けば、君は一人きりで泣くのだ

                          エラ・ウィラー・コックス

 科学的研究では、人はストレスを感じるとコルチゾールというストレスホルモンが分泌され、うつ病、心臓病、糖尿病などの病に侵されていくことが証明されています。悪い細胞をやっつけるNK細胞の力も弱くなります。笑わない状態がそうなのだと。

 

 楽しいから笑うのではない。笑うから楽しいのだ。

                           ウィリアム・ジェームズ

 

 そう、笑うことです。そうは言っても、実際は理由もなく笑えません。こんなにも辛いのに、苦しいのに、心が傷ついているのに。と、しばしば思います。そうです。そんなに、簡単に笑えません。心理学ではまず、作り笑いでもいいから、笑えば、身体もそのようになりますよ。身体が笑えば、悩みも苦しみの心も前向きに変わるのですよ、と説明されています。いわゆる行動療法の効能です。確かに、そうです。しかし、人の心は、そのような行動にすぐには向かないものです。とても複雑です。深く傷ついた心の回復は、光を求めつつもグレーな世界です。ただ、そこに留まっていては何も始まらないのも事実です。負のスパイラルから抜け出す方法。その人自身にその力はその時はありません。ですから、そのような友が傍らにいましたら、そっと微笑みを。その人のそばで、空の鳥を見よ、野の花を見よ。風を感じよ、との古の言葉を心に想起して。

 

 下を向いたら、虹を見つけることは出来ない。

                      チャップリン

 

 わたしもそのようにして笑顔になります。良き人々に恵まれています。

 

 

松本 利勝

国家資格キャリアコンサルタント

産業カウンセラー

元校長

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カラスさん、こんにちは。

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 皆さん、年末年始、いかがお過ごしでしたか。人それぞれでしょうけれども、とにかく今年も、いい塩梅で、それなりに生きていきましょう。

 私は福島に最近は二度も帰省いたし、年末年始、病床の兄の話に耳を傾けるなどして実に感慨深い時間を過ごしておりました。

ただ元旦は御屠蘇も多少いただき、ボウっと過ごしていました。そして何となくほろ酔いの中でテレビ「徹子の部屋」を見ていました。するとこんなすばらしいお話が。

ある年配男性タレントの話題。「人生に希望を失った女の子が、神様に『わたしのような人間が生きる価値があるのですか。もう死んでしまいたい』と祈ったまさにその時、窓からカラスの鳴き声が『カァ~カァ~』と聞こえたのだそうです。それを聞いた女の子は死ぬのがバカらしくなって生きようと決めたのです」

 実に素晴らしいお話だと思いました。カァ~カァ~カァ~。いいですね。あの一休さんのような面白み、軽みの深さがあります。わたしもそんなカラスになりたいと思いました。世の中にはあまりにも、深刻な絶望的な言葉がはびこり、あっけらかんとした達観した言葉、人生の楽しみに誘う言葉が少ないように思います。皆さん、バカらしいからくよくよしなさんな、と鳴くカラスになるか、カラスの声に傾聴をしてみませんか。

 そこに悩む人がいれば「カァ~カァ~カァ~」と歌いましょう。熟練の落語家のように。 そういえば、今年の目標のひとつは落語を楽しむでした。

 因みに好きな落語は、「長屋の花見」。春になり長屋の意地汚い男がもったいないとサクランボを種ごと食べたら頭頂部から桜が生えてきた。近所の連中が面白がって花見に来るのが鬱としいので桜をエイ!と抜いてしまった。そうしたら、桜を抜いた後に大きな水たまりが出来た。すると近所の連中が釣りにやってきてしまう。鬱としいので男はその池に身を投げて死んでしまった、というお噺。江戸の小噺、シュールですが、こんな噺を考えていた昔の人の懐の広さを思うと人生は楽しい、と思うのでした。

今年もよろしくお願い申し上げます。カァ~。

 

松本 利勝

元校長。国家資格キャリアコンサルタント産業カウンセラー

 

 

 

「別れ」と言うライフイベント

f:id:careersg:20171226103531j:plain福島中通り地方の具たくさんけんちん汁(味噌仕立て) 兄嫁が母から受け継いだ松本家のソウルフード

 

誰でもソウルフードがあります。みなさんは何でしょうか。人気テレビ番組「秘密の県民ショー」でもいろいろなソウルフードが紹介されて大変興味深いものです。わたしのように地方から上京した者なら誰でも故郷の味が懐かしくなるのは自然なことだと思います。わたしは味噌仕立てのけんちん汁です。亡くなった母の料理はあまり好きではありませんでしたが、このけんちん汁だけは大好物でした。今は、兄嫁がその味を継承しています。有り難いことです。

先日、クリスマス前に福島郡山の実家に帰郷いたしました。兄が重い病にあるのでお見舞いのために。医師の判断で実家で今月から療養しています。兄嫁が私のために夕食に出してくれたのがけんちん汁でした。あたかも兄弟の別れのイベントのように。

ライフイベントとは人生の中で大きな転機、転換点になることです。結婚、出産、離婚、病気、就職、退職そして愛する人の死などいろいろありますね。師走の今、あらためて自分のライフイベントを振り返り、これからの生き方を考えるのも新年をお迎えする大切な営みなのかも知れません。

みなさん、どうぞ良いお年を。

 

松本 利勝

難民のクリスマス

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青梅市 知的障がい者施設 友愛学園の入所者作品「クリスマスツリー?」なんと素晴らしい作品なのでしょう。

 

サンタさんを信じる子供たちがいるご家族は、そのプレゼントに思いを馳せる楽しい日々をお過ごしでしょうか。わたしも、親になってからはクリスマスイブの夜、幼い息子の枕元にギリシャ語で書かれたお手紙と「自転車」が置かれているのを目撃しておりました。息子の驚くうれしい顔が忘れられません。懐かしい思い出です。

さて、前回はマリアとヨセフ、幼子イエスが博士たちや羊飼いから祈りを捧げられた降誕物語が話題でした。では、この貧しく無力な聖家族がその後どう生きたのかをお話しいたしましょう。

ヘロデ王は、恐ろしくも己が地位、権力を守らんとしてキリスト殺害を企み、領地内の2歳以下の男の子の皆殺しを命じたことは、前回お話した通りです。

その時、ヨセフは、その計画を察知してマリアと赤子イエスを連れてエジプトに逃避行したのでした。おそらくはただ神への信仰のみを支えとして。故郷ナザレではこの家族は行方知れず。村人、親族はどれほど心配したことでしょう。エジプトで、ヨセフはどのように家族を養い、守ったのでしょうか。当時14歳程度と思われる母マリアも初めての子育てを見知らぬ異国の地で、さぞ大変だったでしょうね。

やがて、ヘロデは亡くなり、聖家族はナザレに帰還することができました。

 

クリスマス物語は、幼子の虐殺事件と難民となった無力で貧しい家族の物語でもあるのですね。現在の難民問題に通じる重いテーマでもありますけれど。

 

松本 利勝

 

 

 

 

 

 

 

 

東方からやってきた博士たちのプレゼント

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今日からアドベント待降節降臨節)ですね。欧米では、あちらこちらでクリスマスマーケットがあり、スイス大使館ではクリスマス料理のイベントも開かれるようです。楽しい気分ですね。

ところでクリスマスは1月6日のエピファニー(顕現日、公現日)まで続くのですが、ご存じの方は多くはないようです。日本ですと25日のクリスマスが終われば、あっという間にお正月を迎える師走の光景に早替わり。面白いですね。ですが、クリスマスは1月6日まであるのです。ちなみにエピファニーとは、キリストは人類全ての救い主であることが公になった、ということです。

さて、聖書物語ではキリストがベツレヘム、今のイスラエル死海の東にある村ですが、その馬小屋に生まれました。

神のご計画、聖霊により。ところがユダヤ王ヘロデは、自分の地位を脅かすかも知れぬキリスト(救い主、メシア。英語ではメサイア)の殺害計画を立てるのです。星に詳しい東方 の博士たちにキリスト誕生の場所を探すように依頼したのです。彼らには殺害計画を知らせずに。博士らは星⭐️の導きに従い、キリストを見つけ、そして黄金、乳香、没薬を捧げます。乳香とは神の香として希少価値のある乳白色の樹液の塊。キリストが真の王であることを示します。没薬とはミルラとも呼ばれるやはり希少価値のお香。ミイラ作りにも防腐剤として用いられるもの。キリストがやがて十字架にかけられ、葬られ、復活されることを暗示するものです。 博士たちのプレゼントには、こんな深い意味があったんですね。みなさんは、クリスマスのプレゼントには、どんな思いを込めるのでしょうか。 ではまた。 松本利勝

クリスマスの前に

クリスマス。子どもの頃は、サンタが街にやってきて、プレゼント🎁をわたしの枕元に置いてくれるワクワクする日でした。小学校高学年になると何故かサンタを忘れてしまいました。もちろんそんな子どもにプレゼントは届きませんでした。まだ、サン.テグジュペリ「星の王子様」の「大切なものは目には見えない」という言葉に出会っていなかった頃です。

キリスト教のカレンダーでは、11月30日に最も近い日曜日からアドベント(Advent)に入ります。今年は12月3日から。それはクリスマス🎄やキリスト誕生物語を木製や陶器の人形で表すネイティビティ(nativity)が飾られ、人間の救い、癒しとはどのようなものかを考える期間です。それ故にこの期間はクリスマスまでの神聖な時となります。

日本の煌びやかなイルミネーションも光のファンタジーとして何かしらわたしたちに楽しい思い出を残すなら、意味はあります。プレゼント交換も互いの思いの尊い確認作業でしょう。

年末、以前は山谷地区のホームレスの人々にカレーを届けるボランティアに参加していたのですが、最近は足が遠のいています。目に見えないものより、目に見えるものばかりに心を奪われているのかも知れません。

ホームレスの人々のそれまでの人生を思います。どれだけの悲しみや悔しさ、怒り、絶望、諦めがあったのでしょう。今年の年末は、最近忘れていたものを思い出してみようかと思います。

松本利勝

本屋さんのカフェ

わたしは、本屋さんが好きなのです。ネットも便利ですが、本の魅力もたまりません。子どもの頃、町に一軒だけあった本屋さんで児童文学の新刊を手にしたときの、あの新刊独特の香は、忘れ難い記憶です。

本は読むものではありますが、その紙質、重さ、表紙装丁、サイズ、文字フォント、インクの色など実際に手に取って初めて伝わるメッセージがありますから、本はその存在そのものが、その価値だと思っています。編集者や作者の思いも感じられます。やはり、本は素敵です。

先日、神楽坂駅すぐ近くの小さな本屋さんにぶらり立ち寄ってみたのですが、実に楽しい空間が広がっていました。芸術、趣味など文化的なものが中心でした。小さなカフェ、小さなギャラリーもあり居心地がいい本屋さんでした。こんな本屋さんが増えると良いな、と思います。

好きな本に囲まれた暮らし、それは心楽しいものです。

松本利勝