西野監督から学ぶ50代の豊かな経験値

f:id:careersg:20180630173133j:plain(西野監督)

今年は計測史上初めての6月の梅雨明けとか。未来予測は過去のデーター、経験値のみに頼る判断は危険であるということでしょう。それは就活でも同様です。

わたしは今、ある施設で特別国家公務員の人々ー50代で退職され、新たに民間で働くために準備を始める方々ーの就職準備教育の講師を務めさせていただいています。受講生は皆、30年程度、国民のために懸命に働かれてきた素晴らしい人々です。国際紛争の場、阪神淡路大震災東日本大震災等の災害支援にも命を賭けて果敢に取り組んだ方々。ある人は職務上、その働きを公に出来ない中で重要な任務を担われていらっしゃる方も。そんな彼らですが50代にもなれば、介護もありますし、またお子さんが小学生の方もおられます。ライフブランも容易ではありません。就活に真剣に取り組んでいます。

就活の際のにアピールする50代の強み。それはやはり「今までの経験値」です。今、話題のリーダー、現在行われているFIFAサッカーワールドカップでベスト16に導いた西野監督ー彼の采配は彼のそれまでの経験値から導き出されたものだと思われます。ただし、彼の経験値の要素には、経験値のみに依存しない柔軟な思考法(自分の思考の枠組み<フレーミング>の再構築する力)があるのでしょう。また、「おじさんジャパン」と呼ばれた30代前後の選手を生かす力もある、ということでしょう。若い人にはない知恵があります。

50代の人々の就職活動も彼らの経験値を生かすことは、大切なことでしょう。ただ、民間の企業で働くためには、民間との違いをしっかり認識し、エンプロイアビリティ(雇用されうる能力、雇用され続ける能力)をレベルアップしなければならない現実は受け止めなければなりません。

わたしも、校長職を終え、新たに就活をしましたが、ハローワークでも、ネット情報でも50代後半のわたしの参考になるキャリアコンサルタントからの発信情報を見つけることはありませんでした。一度は、再就職など不可能ではないか、もはや自分は世の中では必要とされない人間なのではないかと落ち込みました。しかし、この経験も含め、実はこの経験値こそ、最大の強みになったのです。50代の就活の辛さ、不安。良く分かります。

50代の皆さん、50代だからこそ、できることがたくさんあります。同じ年齢の西野監督、次の試合の采配期待しています。わたしは結果は問いません。皆さんは?

松本 利勝

 国家資格キャリアコンサルタント

 産業カウンセラー

 元中学校・高等学校校長

それでもお腹は空く

f:id:careersg:20180626110730j:plain(かぼちゃ。「ほうとう」の具材にするとおいしい・・・)

古今東西、哲学者、宗教者たちは人間の生きる意味を問い続けてきました。悟りを唱える者もあれば難解な理屈で説明しようとする人々もいます。

しかし、ひとつ確かなことがあります。それは、人生の意味が分からなくても、お腹が空くということです。もちろん、悩みが深刻になると食欲もなくなりますが、しかし生きていようとする限りは食べることを欲するのです。

くよくよするのはやめて、料理をしましょう。スーパーに出かけて食材を買って。書を捨て、キッチンに立ちましょう。

世界が明日、滅びることになっても、それでも食べて生き抜きましょう。人生の意味の探求はたぶん、それからでも遅くはありません。

なぜ、仕事をするのか。職探しをするのか。食べるため。家族を養うため。

そう、若き日、わたしも哲学理論書を紐解きながら、当時は手が届かなかった美味しそうな洋食屋さんの前でしばし、足が止まっていました。食べることなくして哲学も意味をなしません。

新しいキャリアもまずはいかに食べていけるか。それが大切な視点なのでしょうね。

 

松本 利勝

国家資格キャリアコンサルタント

産業カウンセラー

元校長。30年以上の中学高校での教育経験から不登校生徒、保護者支援に関わっている。

50代からの転職~介護タクシードライバーの巻~

過日、89歳の義母が初めて介護タクシーを利用いたしました。入院先の病院からリハビリ専門病院までの片道40分のドライブ。ドライバーはAさん。この道13年のベテラン。今、私は50代の転職支援をさせていただいていますが、福祉業界を希望する方も少なくないことに気づかされています。そこでキャリアコンサルタントとして少しだけ、お話しを伺いました。

f:id:careersg:20180613160619j:plain(気遣いを絶やさず丁寧な介護をするAさん。Aさんはもともとアパレル業界で働いていましたが、13年前に現在の職種に就かれたとのことです。現在50代後半。)

f:id:careersg:20180613160641j:plain(病院受付まで車いすで介助してくださいました。)

Aさんは起業してひとりでこの仕事をしています。納得のいくホスピタリティのある人様に喜ばれる仕事をしたい。儲けは二の次であると。介護タクシー購入代は約540万円、そして行政の許可をとり、始めたのだそうです。資格は介護福祉初任者研修修了、二種免許。大手の業者で働くこともできるけれども、利益を考えると安全性より効率性を重んじることになりがちであるので、その選択はなかったそうです。営業、つまり顧客を探すのは大変ですが、Aさんと信頼関係を構築できた病院からの紹介があるので助かっていると、教えてくださいました。また奥様と共働きをしてはじめて生活が成り立つ厳しさもあるとのこと。

Aさん、そう語りながら笑顔が素敵でした。

50代からの再就職は楽な道ではありません。しかし、人生は一度きり、自分が楽しく生きて、かつやり甲斐がないと長くは続かないものですし、そうでなければ悔いも残るのでしょう。Aさんのお話しを伺いながらあらためてそう感じました。

 

松本 利勝

国家資格キャリアコンサルタント

産業カウンセラー

 

履歴書の写真は、、?

大学生の内定率は既に約40パーセントだそうです。6月から就活解禁のはずですが、人材不足の中小企業が青田買いをしているようです。しかし大学生は売り手市場か、といえばそうでもなく、多くの人々が望むブランド価値のある企業は狭き門です。中高年の再就職も同じです。

さて、きょうは就活に失敗する履歴書について考えてみたいと思います。

誤字脱字が多いこと。友人に読んでもらい確認しましょう。誰でも自分のしていることは客観的には見えません。頼める友人がいなければ、時間をおいて三度見直おしましょう。それから、、、、

顔写真が暗いこと。爽やかさゼロ。よく見かける駅改札出たあたりにある千円位で撮れる証明写真で自己流で撮ってしまう場合などです。その値段で爽やかな笑顔の美しい写真を撮れるのは極稀な選ばれた人だけ。写真で一生の仕事が左右されるなら、ここはお金かけましょう。プロは上手に不自然にならない程度に修正もしてくれます。

実はわたし、数年前、意を決して新たに就活を始めた頃、安くあげようとしてあるビルの片隅にあった小さなボックスで履歴書用写真を撮ったのです。するとそこに写るのは目つきの悪い、不自然な笑顔の中年男。余程疲れていたのか、これが他人様に晒しているリアルな自分なのかと愕然といたしました。変にリアルな写真は履歴書には不向きです。以後、その写真を思い出し、笑顔、身だしなみ、立ち居振る舞いには気遣いをするように意識しています。とにかく写真はプロに依頼するのが一番です。皮膚のシミなども程よく消してくれます。

履歴書の写真。あなどれません。わたしも管理職として沢山の履歴書を拝見いたしましたが、爽やかな笑顔の写真は好印象でした。第1ハードルクリアです。糊がはみでていたり、曲がっていたり、サイズが合わない写真なら、ここで終わりです。

履歴書の書き方、まだまだ注意しなければならないことがありますが、きょうはこの辺で。

松本 利勝

国家資格キャリアコンサルタント

産業カウンセラー

元校長

失うことの豊かさ

君たちはどう生きるか」。吉野源三郎氏のこの古典的とも言うべき著書がベストセラーです。私たちはこの人生をどう生きるべきか、永遠の問いです。

わたしが若き日、神学を学んだ理由もこの答えを見つけたかったからです。就活などより、生きるためにどうしても探求すべき課題だったのです。

誰でも、いつまでも若くはありません。老いて、或いは病を得て命は尽きてしまいます。心理学者ユングは人生の半ばから人は失うことを受け入れる期間に入るのだ、と述べています。確かに、40代頃から体力も知力もそれまでのようにはいきません。

わたしも還暦を越えていますが、失うが故に見える風景があるのだと感じはじめています。体力の衰え、心の弱さを受け止める力があるからこそ見える景色です。それは命の愛しさや輝きです。路傍の石ころひとつ、駆除される外来種のポピー一輪にも存在することの神秘を感じます。受け止めるその力こそ人生の後半の輝きです。

中世時代の修道士聖フランチェスコがこの世界のあらゆる被造物に価値を見出し祝福されていると謳ったのは人生の探求者として自然のことでした。

わたしもかつて修道士になろうかと思ったこともありますが、今はキャリアコンサルタントに。

みなさんと共に人生というキャリアを探求していきたいと思います。

松本利勝

国家資格キャリアコンサルタント

産業カウンセラー

元校長

エデンの東〜日大アメフト加害選手に思うこと〜

今、メディアで取り上げられています日大アメフトの反則行為。本日、加害選手が真実を語りました。この出来事の真相は今後明らかになるのかも知れません。ただ、彼へのメディアのインタビューを、わたしは見るに耐えませんでした。まだ二十歳の青年、彼は一体どれほどの苦悩の時間を過ごしてこの決心に至ったのでしょう。実に切ない気持ちです。

私たちの人生には、誰にも言えぬ過ち、取り返しのない罪がありませんか。わたしはあります。とても言えませんが。その時、わたしたちはどのように新しい道を見つけ歩んできたのでしょう。

古代オリエント世界で生まれた神話にも、父への反抗、父から愛される弟への嫉妬から弟を殺害する兄の罪と再生の物語が記されています。彼は自らの罪に絶望し、また世間の非難、蔑視、殺意に怯えます。

しかし、父は、彼を新しい道に誘います。新しい場「エデンの東」に。

わたしたちは、誰しもエデンの東に誘われているのでしょう。

松本 利勝

国家資格キャリアコンサルタント

産業カウンセラー

元校長

とことん時代から遅れよう

f:id:careersg:20180511001258j:plain一澤信三郎帆布」社長一澤信三郎氏

カンブリア宮殿」という番組を見ていましたら、面白い人が紹介されていました。

一澤信三郎氏です。京都の老舗「一澤信三郎」社長です。若いころは朝日新聞で働いていらしたそうですが、父の経営する帆布でカバンを作る老舗の跡取りとしてセカンドキャリアを歩んだ方です。やがて父が亡くなると経営権の相続で長男である兄と争い一度はすべてを失うことになりました。しかし、職人さんたちは全員彼の元に集まり、再出発をしたのだそうです。その時、全員で伝統を守りつつ、革新的な仕事もするようになって活路を拓いたと一澤さんは振り返ります。見えるものはすべて失ったかもしれませんが、人は残り、その人々が未来を築いたのです。その商売は一店舗のみ。支店も作らず、海外展開もしません。莫大な利益もありません。しかし定年もありません。子育てのある人は時短OKです。昔からの働き方です。時代から遅れている経営なのかも知れませんが、今やその製品は世界に認められ、海外からお客も殺到しています。顧客と直にお話をし、心を込めて生み出した製品を慈しみ、修理も受け付ける日本古来の商売の仕方です。職人さんもいつまでも生き生きしています。古くて新しい働き方。ここには働き方改革など無用です。昔からの形が働き方改革そのものです。

経営学の理論をわたしはあまり存じません。しかし、人を大切にし、育て、人と人とをつないでいく仕事の仕方がわたしは好きです。元の仕事である学校の教師もそうでしたし、今のキャリア・コンサルタントの仕事も同じです。

 

松本 利勝

国家資格キャリアコンサルタント

産業カウンセラー

元校長