好きなこと見つけて、仕事に生かそう

f:id:careersg:20181112100243j:plain落語家 柳家 花緑さんの少年時代

こんにちは。コスモスが美しい季節になりました。日本は素敵な四季の国ですね。

ところで、みなさん最近、腹の底から笑っていますか?幼子の笑顔をみると思わずこちらも微笑んでしまいますが、そんな機会もないと、仕事のストレスに支配されて、気が付けば笑顔が失われていることも。仕事のできる人は、笑顔とあいさつができる人であることが基本。その笑顔が消えてしまうのは、自分もそんな自分に出会う人も楽しくはありません。そんな自分に気が付いたとき、みなさんはどう工夫していますか?

わたしの最近のおすすめは、「落語」をみること。おかしくて、しかも話術も学べます。好きな落語家は柳家花緑さん。叔父は6代目柳家小さん花緑さんの芸がすばらしいだけでなく、その自己理解、仕事理解がすばらしいのですね。

花緑さんは、学習障害があり幼いころから文字があまり読めないのだそうです。ですから、学校の成績は文字が重要視される国語、英語、算数等はいつも「1か2」。先生たちも学習障害だと知らず「この子は勉強のできない子」という認識でしかなかったのでしょう。

ところが、花緑さん、文字を読むのは苦手ですが、それ以外の能力は問題なし。それどころか、耳から聴く情報理解力は完璧です。彼は中学を卒業して大好きな落語家という仕事を選択します。すると才能爆発的に開花。落語は文字ではなく、口伝いで芸を習得する世界なのですね。今、花緑さんは、大人気の落語界のホープ。22歳という戦後最年少の年齢で真打昇進。花緑さんは自分が勉強ができなかったのは「障害」が原因であったことを知り、彼はなぜ文字が苦手なのかようやく理解できたのです。自己分析が可能になったのです。今やそのことが彼の「強み」になりました。自己受容、完全なる自己肯定、自己効力感。花緑さんのメッセージ「誰でも、生きることが素敵。好きなこと見つけて仕事しよう!笑顔で生きよう。」花緑さんの笑顔、その落語からうまれる素敵な笑いはそんな確かな自己理解、仕事理解から生まれるのですね。

 

松本 利勝

国家資格キャリアコンサルタント

産業カウンセラー

元中学校・高等学校校長

 

やれないと思えばやれない。しかし・・・

f:id:careersg:20181024094505j:plain視覚障がい者の小林幸一郎さん

教員時代に子供たちに「福祉教育」をしたいと思っていました。今は亡き叔母が下半身不随で、初等教育も受けられなかったことを子供心に不条理だと思っていたからです。優しい叔母は昭和のはじめという人権意識の希薄な時代、かつ福島の片田舎で福祉行政や親族の無知から一度も学校に行けなかったのです。

現代の日本でも政府機関の障がい者雇用率の水増し不正に象徴されるようにまだまだ障がい者への意識は希薄です。しかし、多くの障がい者(わたしたちも足腰を痛めたり、老眼になったり、また事故や病気が原因で体が不自由になることもありますから障がいは自分自身の問題ですね)が、自分への思い込みから解放されて自由に人生の新しい可能性、キャリアの開拓を活き活きとしています。

視覚障がい者小林幸一郎さんは、ある時、障がいを持っていてもできることは山ほどあると気づきました。そしてアフリカのキリマンジャロ登山を成し遂げたのです。彼は今、そのメッセージを多くの障がい者に伝えています。写真は、ボルダリングをしている小林さん。

自分は、これはできない。50代だから、60代だからできない。新しい仕事にチャレンジできないなどと思い込みますと、確かに何もできないのです。しかし、失敗するかもしれないけれども、とにかくやってみる。人生は一度きり。失敗しても楽しい経験になるかもしれません。わたし自身の教育観でもあります。

さて、自分を思い込みから解放するために、どうすればよいのでしょうか。わたしの場合は子供の時にしたかったことから始めました。

今月末、忍者修行で奥多摩に参ります。60代から忍者になっても遅くはないでしょう。

 

松本 利勝

国家資格キャリアコンサルタント

産業カウンセラー

忍び

生きる時間

f:id:careersg:20181018185654j:plain生前のバーンスタイン

若いころは、人生は永遠に続くものだと思っていました。体は元気で、両親もいつまでも元気であるとも。学校の仲間も若いままでいるはず・・・。

しかし、気が付けば、両親は共にもうずっと前に天国に行ってしまい、同窓会に出席すると何人かはすでにこの世にはいないのです。長い髪を肩まで垂らし、フォークを歌った学生時代は遠い昔。亡くなった大杉蓮さん、樹木希林さんなどの訃報が胸を打ちます。子供のころに甘えた叔父叔母たちも認知症だったり、すでに世を去っています。

さて、あらためて考えてみたいと思います。人間の永遠の問い。人は何のために生きるのか。あの有名な音楽家バーンスタインは晩年「人のために仕事をし、演奏するのです」と語りました。生活費を稼ぐために仕事をする。もちろん、それは当然です。生活費に事欠くようでは、人のために、などと考えられる余裕は生まれません。ただ、人はおそらく、人の喜びのために生きるときにこそ、自分の存在意義を確認するのです。俳優さんも、余命いくばくもない日にも自分のために、他者の喜びにつながるような演技をするのです。円熟した音楽家、その音色は味わい深い人生の響きを奏でます。わたしたちはどのように人生を奏でているのでしょう。ライフプランニングの意味ですね。

紅葉の美しい季節になりました。みなさん、お風邪など召しませぬように。

 

松本 利勝

国家資格キャリア・コンサルタント

産業カウンセラー

教育カウンセラー

元校長

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

問われる学校のダイバーシティ

f:id:careersg:20180918211740j:plain(今、学校ではムスリムの子供たちとどう向き合うかが問われています。)

今、ダイバーシティ(多様性)という言葉が社会に飛び交っています。あらゆる社会の領域、例えば会社の中には外国人労働者が珍しくなくなりましたね。確かにわたしが住んでいる町のコンビニや飲食業のチェーン店では半数以上が、外国人です。名前のカタカナ表記からすると中国、ベトナム、ブラジル、台湾、フィリピンなどでしょうか。統計では2017年現在でほぼ256万人の外国人労働者厚労省に事業者が届け出た外国人労働者は約128万人。

それらの人々を労働力不足の日本の社会で貴重な戦力にしようと政府は法制を整えています。来年4月から外国人単純労働者受け入れが拡大することが決まっていますから、今後ますます外国人労働者が増えるでしょう。

そうするとその家族も日本社会で共生することになります。そして子供たちは日本の学校に通うことになるでしょう。おそらく彼らの経済的理由から公立の学校がその子供たちを受け入れることになることが予測されます。群馬の伊勢崎の公立小学校などの取り組みが一部のメディアで紹介されていました。例えば学校でムスリムの子供たちの集団礼拝をいかに保証するか、また食べ物も宗教的に禁じられているものについてどう配慮できるか、音楽の授業も精神を高揚させるものは禁じられていますから、どう対応するか。美術の時間も偶像禁止の教えから制限があります。現場の先生方が外国人とどのように接するか、教育現場の中で多様性をどのように実現するか、問われています。

ダイバーシテイ。教育のみならず、社会のあらゆる領域でその実現の仕方、わたしたちの意識が問われています。

松本 利勝

国家資格キャリアコンサルタント

産業カウンセラー

元中高校の教頭、校長

教育カウンセラー

放射能と暮らす

f:id:careersg:20180826222037j:plain福島県郡山市郊外の墓地横にある放射能汚染土の山

お盆に故郷、福島の郡山に帰省しました。兄と叔母の初盆のお墓参り。墓地は市郊外にあります。心が凍り付きました。墓地の駐車場がいつのまにか、東日本大震災時の福島原発が拡散した放射能にまみれた汚染土の山に変貌していたからです。

もちろん、業者の方々が丁寧に、環境に配慮しながらされているプロの仕事です。

美しい福島。山並みの見渡す限りの風景が、見えない放射能に汚染されているという現実が胸を突き刺します。放射能は自然を静かに破壊する見えない悪魔のようです。亡き父が愛した山ではそこに山菜やキノコがあっても、口にすることもできません。実は汚染土の撤去は農園や生活圏のごく狭い範囲のみ。汚染除去などできるはずもないのです。見渡す限りの光景に汚染はあるのですから。

それでも、福島の人々はそこで暮らします。汚染され、墓地に汚染土が山積みにされても、ここが愛しき故郷です。

わたしが住んでいる東京はかつて電気という形で福島の原発恩恵を受けていました。胸が痛みます。取り返しのつかない犠牲の上に私たちのライフラインが支えられていたのです。当たり前の日常として。

現在の日本のエネルギー政策は原子力が是とされています。確たる代替エネルギーが現れるまでは耐えなければならないということです。

さて、このような時代にわたしたちは、どのように生きるべきなのでしょうか。

 

[松本利勝 国家資格キャリアコンサルタント 産業カウンセラー 元中高校長〕

ノブオの時代

f:id:careersg:20180726172642j:plain6月に亡くなった兄ノブオが最後に手にした写真

右側が兄。

兄は優しい人でした。高校を卒業し、一時東京の専門学校に在籍したのですが、ほどなく自衛隊に志願し陸上自衛隊員となりました。仙台の通信隊。それが彼の部署でした。この写真の隊列の旗手が兄です。それは兄の一生の誇りでした。

兄は、父の事業失敗で家計が窮地に陥ったとき、自衛隊を除隊し、家に帰ってきたのです。そして地元福島のスーパーに勤務し家計を助けました。部長に昇進し、いつしかリストラの責任者をおしつけられ、仲間を切り捨てることになったのでした。その痛みをこらえ、最後には自分自身をリストラするという過酷な仕事に耐えた壮絶なキャリアです。そのおかげで、わたしは大学院まで進学することができたのです。若き日、その兄の犠牲を知らずに好きな勉強ばかりをしていたことに胸を痛めます。兄の人生、そのキャリアは決して目立つものではありません。しかし、生涯、自衛隊の仲間を思い、会社の仲間を思い、家族を思い続けました。享年67。

今、わたしは兄の思いを受け継ぎたいと思っています。ただ一度きりの人生をどう生きるか。キャリアコンサルタントの使命は、人々の様々な痛み、喜び、苦しみを胸に刻みつつ、共に一歩前に人生の歩みを進めることだと思っています。

 

松本利勝

国家資格キャリアコンサルタント

産業カウンセラー

元中高校長

 

就活、転職の面接バイブルとは?

f:id:careersg:20180713115700j:plain(大学生協などで売られているベストセラー)

お元気でしょうか。熱い日が続きます。過日は、某特別国家公務員の皆さんの講義が終わりましたら、フラ~として、しばしソファーに倒れこみました。気が付けば、講義と面接実習で4時間、水分補給なしでした。熱中症。反省しております。

さて、就活は高校生も大学生も、そして社会人もそれぞれの課題です。高校生は進路指導担当教諭、大学生はキャリアセンタースタッフ(多くは外部のキャリアコンサルタント)の指導で就活を進めます。大学生の場合は、先輩などからアドバイスも受けますが、就活バイブル本と呼ばれる書籍を通して基礎的なことを学びます。写真の「面接の達人」(通称メンタツ)は最もよく読まれているものです。ここには最低限の面接の心構えが紹介されています。著者の指摘するポイントは、ここに書かれている事例をそのまま真似してもだめですよ、ということ。最後は人間力である、ということです。自分がどのような人間であるか、それがその人の決定的な「強み」ということです。ネットにも実に様々な就活支援サイトがあり、就活、転職の心得を掲載していますが、ポイントは同じです。

最大の就活は、基本中の基本「自己理解と仕事理解」をしっかりと行うことです。自分の良いところ、いくつ言えるでしょうか。仕事をするうえで、また生きていくうえで大切にしたい事、それは何でしょう。そしてそれは働くうえでいかに生かせるでしょうか。そもそも仕事をするのは何のためでしょうか。自分に合う業界、職種はどのようなものでしょうか。

これらをしっかりと行うことが就活を成功に導くことです。就活とは、実は自分の人生を見つめ直す素晴らしいプレゼントであるのですね。

では、皆さん、また。水分補給を忘れずに・・・・

 

松本 利勝

国家資格キャリアコンサルタント

産業カウンセラー

元中高校長