お子さんが不登校になったご両親へ

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 わたしの親族や知人のお子さんは、何人か中学や高校に行かない、という選択をしています。ある人はそのまま検定試験を受けて大学に進学し、またある人は通信教育で高校を卒業し、就職しています。海外でボランティア活動をする人もいます。彼ら、(彼女ら)には悲壮感はなく、実に爽やかであっけらかんとしています。

 彼らの両親に共通していることはひとつ。人生の多様な生き方、成長の仕方を肯定していることです。日本の学校というシステムは相対的なもので、たまたまそれに合わない価値観を持った子供がいたとしても不思議ではない、むしろそれが自然であるという考え方を持っています。もちろん、ご自身が、そのように生きておられることはいうまでもありません。

 このようなご両親は、学校と連絡は密に取りますが、しかし、子供が学校に合わないのであれば、そこにしがみつかなくてもいいよ、と達観しています。学校や友達、先生の良し悪しではなく、今は学校がただ合わないのだということを認めているのです。そして先生方にその考えをお伝えし、協力を求めるのです。先生方がそのことを理解し協力することができれば、後はその子を応援するだけだったのです。

 とはいえ、多くの場合、実際にわが子が、不登校になってしまったお父さん、お母さんの悩み、苦しみは実に深いものがあります。その戸惑いはほかの人には容易には理解できないものでしょう。もちろん、友人関係や、先生との関係、部活の問題等がその理由である場合は、その解決に全力で取り組みます。しかし、ひょっとするとその不登校ということの背後に複雑な家族の問題がある場合もありますし、また子供たちの心身の健康に関係する問題もあることもありますから、解決に至る道は決して平坦な、単純なものではありません。スクールカウンセラーの熱心なアプローチがあり、また心療内科に通い治療を受けたとしても、その解決への扉を見つけるには、それなりの時間と転機になる幸運な時期を得た出会いが必要です。

 いずれにしても、とても難しい問題です。ただ、いつも思うのは子供の問題は、実は私たち大人の価値観、生き方が問われる問題なのではないか、ということです。私自身の子育ても、教師としての営みもそうでした。それはトライアンドエラーの自分を変え続ける苦悩に満ちた壮大なプロセスでした。いや、今もそうです。いくつになっても悟りなどないのです。何しろそれまで自分を支えてきた価値観の是非も含めて、見直すことを余儀なくされるのですから、それはそれは苦しいことです。逃げたいのですが、逃げ切れない問い。それがわたしが今、お子さんが不登校になり悩まれ、相談にいらっしゃるご両親に向き合う際にこころに留めている問いかけです。この問いに、一緒に向き合うことでお互いに人として新しい道を開きたいと願うのです。

 でもね、そんな日々、こころに青空。空を見上げると雲の切れ間から青空。光もそのうち射すでしょう、と深呼吸。昨日、外に出て、空からもらったメッセージです。写真はその青空。

 

キャリア・ストラテジー 

  講師  松本 利勝 

        (元校長、国家資格キャリアコンサルタント産業カウンセラー)