バカボンのパパ、そのキャリアデザイン

 

 バカボンのパパは人類最大の偉人である、と確信している。無論、我が家の最大ヒーローである。どんな失敗をしても「これでいいのだぁ!」といつも前向きだからである。息子が尊敬する「カール」おじさんよりもずっと偉大である。カールおじさんシリーズは、入試の時期に「ウカール」君が発売されて、ご利益宗教のような存在であるが、しかし息子の大学受験で貢献したぐらいでは、パパを越えることはあり得ない。

 わたしの住んでいる青梅市赤塚不二夫博物館でレレレのおじさんをぼんやりながめながら、そんなことを考えた。

 アリストテレスソクラテスも、プラトンも、キリストもシータールタ(お釈迦様の名前)も、マホメットも、デカルトも、ニーチェも、その他教科書に登場する偉人も立派ではあるが、バカボンのパパにはかなわない。彼は昭和元年のクリスマスに、たぶん熊本県菊池市に生まれた。生まれた直後に「天上天下唯我独尊」(人間は誰でも掛け替えない唯一無二の存在)と発したほどの超天才児である。そのバカボンのパパがバカになったのは二歳の頃、くしゃみをした拍子に頭のねじが外れて口から飛び出し川に流されてしまったから。そのバカなパパはやがて市立七城中学を卒業し、バカ田高校、バカ田大学を卒業している。大学時代にママと結婚し二児を設ける。バカボンとはじめちゃんである。パパの二面性がふたりの子供に反映している。パパは食べるために、たくさんの職を転々としているが、時に暴言により会社を倒産させクビになり、また店舗を全焼させたりもしている。またその破天荒な言動で周囲を混乱に陥れ、人を死に追いやることもある。それでも彼は「それでいいのだ」と落ち込むことは決してない。心の闇と向き合うバカさがあるからである。

 赤塚不二夫氏の生み出したこの驚くべき偉大なヒーローは、かつて存在したあらゆる哲学書、人生訓にも勝る教訓を伝えている。何があってもそれでいいのだ。バカボンのパパのキャリアデザインとは、未来予測不可能であるが、しかし決してめげない、あきらめない、自己嫌悪しない、、、という究極的にボジティプなものである。世界のあらゆるカウンセラー、キャリアコンサルタントが、バカボンのパパに学ぶことは無限大であろう。

 

松本 利勝

 元校長

 産業カウンセラー

 国家資格キャリアコンサルタント

 

 

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