ファスティングと風の身体

f:id:careersg:20170718095601j:plain(軽井沢の千ヶ滝)

知人のお誘いで、昨日までの二泊三日、軽井沢の森の中で「ファスティング」を体験してまいりました。ファスティングとは、断食を通して心と身体をリセットすること、またデドックスと適度な運動を通して身体の本来持っている生命力を回復すること、また自己理解の深化の手段とも言えるものでしょうか。精神医学的観点からは断食療法ともつながるかもしれません。いずれにせよ、すぐれた指導者の下に行われるものですが、今回はすばらしい指導者を得て、得難い体験を与えられました。

参加した28歳の青年は、体重が4.5キロ減とのこと。わたしは3キロ減でしたから、結果として痩せたいと願う方の健康的な方法とも言えるでしょう。とにかく、口にするものは特別な酵素ジュースを一日4回とお水、頭痛がするときや、何となくお腹が空いたな、と感じた頃に舐める良質のお塩のみ。プログラムは参加自由の朝晩の緑風豊かな散策。一度に5キロ程度歩くことも。ただ、森林浴のようなウォーキングですから苦になりません。今回はビルゲイツの山荘を見学したり、ISAK(小林りんさんが設立した今、世界的に注目されているインターナショナルスクール。真の多様性の中で世界のリーダーを育成することを目的に創立されている。)の森の中の校舎や立教女学院のキャンプ場礼拝堂の見学などのコースでしたので、まったく飽きることがありません。また、たまたま参加された方がそれぞれの専門や楽しい趣味をお話しくださる時間も組まれ、教養講座的要素も散りばめられ楽しさは倍増、疲労感もないのでした。

参加者の目的、学びも様々でしょうが、わたしにとっては自分の身体との新鮮な出会いの体験となりました。わたしたちは自分の身体のすべてを知っているわけではないのだ、という実感。断食すれば空腹感はどうなるのだろうか。基本的に水分だけで身体は動くのだろうか。脳の働きは鈍くならないのだろうか。欲求不満のフラストーレーションにさいなまれないのだろうか等、いろいろ懸念していましたが、まったくそのようなことはないのです。一時、頭痛はするのですが、お塩を舐めると不思議と痛みは緩和され、やがて消えていきます。そして何故か空腹感、飢餓感はありません。夜もよく眠れます。

坂の高低差のある、結構きつい千ヶ滝の道程も歩けてしまう筋肉の元気さです。普通ですと、一食抜いても元気がなくなるように思いますが、最後まで気力充実。驚くべき感覚です。

それはわたしたちが知っている自分とは、自分が認識している一部でしかないということの再確認の体験でした。ジョハリの窓(キャリア教育の中でよく用いられる自己理解の理論。自分には自分が知らない領域があることの説明に使われます)の自己認識の実践的体感とも言えるかもしれません。また、ヨガをされている方からヨガの基本の一部を教えていただきましたが、呼吸法の大事さも実感いたしました。深呼吸することで身体が活性化するような感覚です。軽井沢のみずみずしい緑の森の中でする深呼吸は、身体の細胞が目覚めるような心地でした。オリエントの神話にも神が風のような呼吸を肉体に吹き込むことで、生きる者となるという物語がありますが、そうかもしれません。呼吸が止まるとき、わたしたちは生きる者ではなくなるのですから。ちなみに、呼吸、息はギリシャ語でプネウマと言いますが、風と言う意味もあります。わたしたちの中の風、すなわち呼吸をしっかりすることは古代人の知恵だったのかもしれません。

ファスティングの世界は自己理解を豊かにする。わたしの気づきでした。

自己理解はキャリア、就職、転職を考える際の第一段階です。良い経験でした。

 

株式会社キャリア・ストラテジー講師

国家資格キャリアコンサルタント

産業カウンセラー

元中高校長

 長い教育経験を生かしたカウンセリング、コンサルディングを専門にしています。

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