ふと、思い出した初女さんのおむすび

f:id:careersg:20180116210136j:plain(佐藤初女さんのおむすび。2016年に亡くな   る。94歳であった。)

 

 初女さんのおむすびは、人の癒しのおむすびであったという。青森岩木山のふもとに1992年に「森のイスキア」というお宿?を開設。手料理をふるまいながら、悩む人々の心に寄り添った。有名人になったが、その姿は、ただの心優しいおばあさん。哲学的でも道徳的でもなく、難しい理屈、悟りも強いない。あるのはあたたかい手料理のおもてなし。何よりおむすびは絶品だったとのこと。「おにぎり」でなく「おむすび」。生きることに疲れた人々が、一体どれほどの人がそこで生きることの希望に「むすばれた」のだろうか。

わたしも、子どもの頃、遊び疲れて家に帰ると母が生みそを表面につけただけのおむすびをほおばった。亡き母の手のぬくもりの、あのおむすびを今でも思い出すことが出来る。母も人に優しい人だった。それは初女さんのイメージに重なるのである。

初女さんは、元小学校の先生であった。退職されて新しいキャリアを目指した。それは彼女自身にも彼女に出会った人々にも希望を与えた。わたしもそんな元教員になりたいな、とそんな気持ちが浮かんだが、日々の感謝すらおぼつかない自分には無理だろう。しかし、今度ひそかにおにぎりを作ってみようかと思った。どなたか食べてくださるとうれしいのだが。ささやかな野望かもしれない。

 

松本 利勝

 キャリアコンサルタント

 産業カウンセラー

 元校長