自転車君、ごめんなさい

5年前に仙台の単身赴任の教員生活に終止符を打ち、青梅に帰りました。その時に持ち帰ったのが彼の地で購入した電動自転車。ママチャリ的なデザインでその黒い車体がお気に入りでありました。北仙台のアパートから30分かけて電動自転車で勤務先の学校に通勤していました。わたしは車の免許を持っていませんでしたし、東京で仕事をする上ではその必要もなかったからです。仙台郊外にある新しい職場にはバスでも行けますが、バスは多少の雨でも遅延がありますので、通勤には不向きでした。また責任ある管理職の立場では朝7時過ぎには学校についている必要がありますので、機動力のある電動自転車が適切だったのです。多少の雪、降雨でも電動自転車での通勤の日々。近隣の学校への挨拶も電動自転車。突然、東京からやってきた校長。生徒や教職員にしてみればさぞ変な人だったに見えたでしょう。
 その苦楽を共にした電動自転車。都心で再び一人暮らしを初めることになり、久しく乗らなくなって放置すること約一年。先日、台風19号が去った後に、久しぶりに作動点検。すると・・・申し訳なかった! 電気系統がおかしい。通電しない。「あぁ、あれほど世話になった自転車君、ごめんなさい。わたしは、何と薄情な奴。自己中人間 ! ・・・必ず修理するから、しばらく待っていてくれ。君はわたしの頼りない尻の下で見知らぬ街のわたしの孤独を慰め支えてくれた友。」
 人は誰かに、何かに助けられながら生かされている、というこの事実を少しは肝に命じないと。自転車だけでなく。
 

国家資格キャリアコンサルタント

産業カウンセラー

元校長