教育では平和をつくれない

  かつて、中高で平和教育なるものをしていました。平和を作りだすとは、どのような意味か。その実践とは何を意味することなのか、ただ事実を知ることを通して探求し続ける教育です。答えはありません。生徒たちが学ぶのは、調べ方、考え方。試験は、レポートでした。そしてほぼ全員が最高のA評価。つまらないのは愛が世界を救うとか、正義の味方とか、話せばわかり合えるなどという言葉が軽薄に語られるとき。世に流布する表層的道徳。吐き気がするほど。ちゃんちゃらおかしくて。

 沖縄も広島・長崎の原爆に関するわたしたちの問題も、軽薄なヒューマニズムでは決して解決しません。

ただ、問い続ける営みと魂の叫びを武器として無心にどこかの人々に響かせるだけです。

 国際紛争の現場に身を置き、世界で最も貧しい国、シエラレオネに学校を作ったA氏の言葉「教育では平和はつくれない。わたしの作った学校の生徒が、やがて少年兵となり沢山の人々を虐殺したのだから」

 教師であり続けるのは、そう簡単なことではありません。

 

 

松本 利勝

国家資格キャリアコンサルタント

産業カウンセラー、教育カウンセラー