ロックの人間理解から~先生になりたい高校生へ~

f:id:careersg:20170701112931j:plain「野の花」水彩 マツモト

トシカツ

 

 

ONE OK ROCK  作詞作曲 Taka。そこにはこんな詩があります。

Look how far we've made it. The pain I can't escape it.

このままじゃまだ終わらせることは出来ないでしょ。なんどくたばりそうでも朽ち果てようとも終わりはないさ

 

この詩は恋歌のようにも取れますし、人間一般の不条理の世界にあっても悩みながら生き抜こうとする人々へのエールのようにも思え、素敵です。この詩は愛しき人への切ない想いと同時に人生の矛盾、合理的には到底理解不可能な現実を直視し、それでも生きようとする魂の叫びも重ね合わせるクールさがあるように感じます。このような深い意味を持つ音楽が一定数、若い人々に支持されていることに希望を感じます。

ところで今回のテーマは、将来学校の先生になりたいと夢見る高校生のみなさんに伝えたいことです。 みなさんはもう感じていることでしょう。学校は決して、楽な職場ではありません。朝7時半には職員室にはいり、クラブ活動の指導、後片付けをし、教材研究、授業準備、報告書作成、テスト作成採点、進路指導、その他数えきれない校務分掌、教員会、保護者対応、不登校児童・生徒への対応、研修会参加、中体連、高体連等の土日の引率、審判など、その仕事は無数です。学校を出るのは8時頃になるのは当たり前の日々です。それでも先生たちは、生徒の喜ぶ顔が見たくて頑張ります。

ただ、そのような厳しい労働環境の中だからこそ、心を病む先生たちも。2007年度統計では教員数104万人の14%、125人が自殺。2014年度は18.8%、146人に増えています。自殺に至らなくても精神的に追い詰められている人々はその倍以上でしょう。先生たちのそのように病む原因の第一はうつ。その要因は家族のこともありますし、生徒のこともありますし、多様です。第二は仕事疲れ。とにかく忙しすぎで休めない。心も体も疲弊しきっているのです。第三は先生方の人間関係。先生たちの多くは大学、大学院を卒業してからそのまま教員になります。ビジネスマナーを学ぶ研修も本当に効果的なストレス対応研修もほとんどありません。先輩の先生たちも皆同じです。教科を教えるプロではあっても、社会一般からみれば、きわめて狭い世界、ある意味、閉鎖的社会に生きています。公立であれば転勤という環境変化で回復する場合もありますが、私立ですと、いつも同じ先生方と顔を合わせるのですから、環境変化もはなかなか難しいのです。学年主任、学年の先生の会、生活指導などの委員会、教頭、校長、組合関係の役員の先生との付き合い方など、学校という職場での人間関係改善のためのストレスマネージメント(ストレスをしっかり自己管理すること)をするのは至難の業。先生たちのこの現実はまさに不条理に満ちた世界です。

先生になりたい高校生のみなさん。現場ではこのように厳しい現実もあるのです。とは言え、教育の世界は素晴らしいですよ。是非、チャレンジしてくださいね。ただ、私たちの生きているこの世界、その世界の中にある学校も納得のいかない出来事が山ほどあるのだ、ということを知っていてください。

今朝もテレビではイラクのISの拠点であるモスルがもうすぐ有志連合国が奪還するであろう、それでもテロはなくならないだろう、という報道がなされていました。テロの原因は複雑でしょうが、その根本はわたしたちの世界は、互いを認められない、認めてはいけない、という思想が厳然とあること。例えば難民・移民を受け入れたヨーロッパ諸国の中では、それらの人々の雇用(仕事)が少ないこと、あっても低賃金であることなどはテロを起こしたくなる不満の大きな要素でしょう。貧しさの中で自分の存在価値を認められず、雇用もされず、希望をどのように持つのか、という問題です。世界全体から見れば、人類に平等も絶対的な正義観念の確立もありません。身近な学校の世界も、暮らしの日常生活でも、その不条理は同じです。先生になるということは、このようなわたしたち人間のやるせない、どうしようもない、こぶしを握り締めて泣き叫びたくなるような憤怒に満ちたこの世界をしっかりと受け止めるということでもあります。ごめんなさい。こんなことを高校生のみなさんにお話しして、先生になる夢を壊してしまうかもしれませんね。

見てください。それでも、先生たちは君たちと一緒に学校で頑張っているでしょう。それがなぜできるか、こんな絶望的な世界でも、少しでも、世界を良くしたいからです。君たちと一緒に。案外、ロックな世界です。

株式会社キャリア・ストラテジー 講師

松本 利勝

国家資格キャリアコンサルタント

産業カウンセラー

元中高校長

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