60代からのハローワーク

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(書店に並ぶ就活関係の本)

 

7月。すでに就活戦線は半ばとも、終盤とも、これからとも言える時期ですね。学生の皆さんは、内定をいただいて安堵している人もいるでしょうし、今まさに歯を食いしばって自分を激励叱咤してチャレンジし続けている人もいると思います。最後まで、あきらめずに、とエールを送り続けたいと思います。

 

わたしも、2015年3月に校長の任を終え、また新しい仕事を見つけるために4月から就活をはじめた経験があります。目標は2016年度4月からの就業でした。まず、失業手当をいただくためにハローワークに通いました。同時に、ハローワークの相談員に毎月、就活の相談をいたしました。60代のおっさんを採用する職場があるか。塾の講師、児童館のアルバイトなどはありましたが、それが合っているのか、人生を輝かせることが出来るのか、不安が渦巻いていました。このまま、隠居爺さんになろうかとも。

悩みました。学校でしか働いたことがない60代になった自分に果たして雇用されうる能力があるのか。採用する企業はあるのだろうか。・・。ぼぉっと考えても何もはじまりません。そこで、まずは自己分析を始めました。キャリアコンサルタントの知人にアドバイスを求めながら、自分の現状をしっかり認識して、就職するにあたって、欠けているものは何か、それを補う方法は何かなどを考えたのです。

今までの教員としての30年以上の経験を総括してみました。喜びを感じたとき、辛かったときはどんな状況であったか等、森の中で黙想しつつ考えてみました。(奥多摩の森と清流、森を吹き抜ける爽やかな風は、わたしの良きアドバイザーでした。森の野鳥たちも。特に囀るミソサザエは。)

そして得た結論。誰かの役に立ちたい。それも「教育」に詳しい相談員として。こうして国家資格キャリアコンサルタントになったのです。2016年4月から、偶然にも某中学校で臨時の特別枠の教員として採用され、今は講師として就業をしていますが、この資格を持つことでスクールカウンセラー養護教諭との連携もよりスムーズになっていると思います。互いにカウンセリングのプロとして協働できるからです。

ところで、最近の書店探検をしていますと、就活関係の書が目につきます。単なるノウハウものもあれば研究書的なものなどいろいろですが、中には興味深い情報満載の書と出会うこともあります。ただ、それを読めば就活に成功するかといえば、そうではありません。確かに、現代社会で、企業はどのような人事採用をするのか、といった最新情報は面白いのですが(例えば、ESを出すのにある程度、高額な費用が必要とされる企業がある。コストをかけてでも応募する者を採用したい、と。あるいは、面接会場を応募者に設定させる企業がある、という採用方法に関する話題。)それを知ったからと言って、応募者であるわたしたちが採用されうる能力(エンプロイアビリティ)が向上し、採用に至る、とはならないように思います。むしろ、情報に振り回されるリスクがあります。

60代からの就活で大切なこと、それは60代だからと言ってあきらめないこと。それをいろいろなキャリコン仲間から学びました。確かに公立校では定年で隠居する歳ではあるのですが、まだ誰かの役に立てると気づかされました。

50代の方、まだまだです。60代の方、まだまだいけます。一緒に、人生を切り開いていきませんか。

 

松本 利勝

株式会社キャリア・ストラテジー 講師

国家資格キャリアコンサルタント

産業カウンセラー

元中高校長