逆算して生きる物語

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とある喫茶で☕を飲んでいます。珈琲を飲みたいということより、気分を変えたいと。貧乏学生の頃、食事もろくに取れないくせに試験勉強も論文も喫茶でした。その時代からの癖かもしれません。今も。

ところで還暦を過ぎたわたしの友人たちは定年しているか、その間際でこれからの人生をいかに生きるか模索し始めています。テレビ番組も人生の終焉を描く石坂浩二さん主演「やすらぎの郷」が話題ですね。倉本聰氏の作品です。再放送を見ますと先日亡くなった野際陽子さんなども出演されていましたし、現実と虚構の入り混じるドラマです。倉本聰氏ご自身も高齢になり、だからこそリアリティとロマンが交錯する味のある作品になっています。かつての名優たちが晩年を過ごす高級な高齢者施設が舞台という設定です。きょうの再放送は「死にゆく人と残された人の死を迎えるためる覚悟と納得感」でした。納得して人生の最期を迎えることが出来るかどうか。それが問われませんか?と倉本氏から。

若き日、子育て時代には容易に自分の最期から逆算して、今をどう生きるかをゆっくりと考えることは少ないかもしれません。しかし、やはり、いつかは迎える人生の最期。その時に自分を納得させるものが自分の中に残せるか。時には考えなければと思うのです。

映画監督大林信彦氏も末期がんの中で今、映画製作に意欲をもって生きています。おそらく人生最後の作品。写真はその大林監督の澄み切った眼差し。何を見ているのでしょうか。

近年、40代、50代の転職が増えてきています。転機は人生のドラマですね。わたしも定年前に専任教員を辞して、新しい人生に踏み出しました。リスクある転職です。今、その転機の時代をオンタイムで生きながら、問うのは人生の逆算からの今のリアジュウです。すると、人生の定年は、命が尽きる時。人生の定年までどう生きるか。転職という自分の物語もそれを考えなければ納得のいく決断になりません。 p>

「自分の人生の物語」をどう描くか。作者は自分自身。演出者はわかりません。しかし、とにかく書き始めて、そのように演じなければ何もドラマがはじまりません。観客はもちろん自分自身です。

さて、珈琲も飲み干しました。これから90歳ちかい義母と一緒に食事を。

 

元校長

松本 利勝