(きょう、路地で目が合ったネコ)
ネコは嫌いです。ネコは部屋に毛をあちこちにまき散らして清掃が大変。自分の抜け毛だけでも苦労していますのに。
ネコは、わがままだから嫌いです。まるで自分をみているようです。
ネコに餌を用意するのは大変です。自分のメニューさえ考えるのが大変なのに。
ネコは怖いです。いじめると化けて出ます。誰に対してもいじめていいことはありません。
ネコの毛づくろいをするのも面倒です。中高年の自分はもう毛づくろいするほどのポリュウムがありません。
ネコの目は鋭い。それに反して自分の目はなんと淀んでいることか。なかなか真実が見えません。
ネコはかわいそうです。たまに道路の真ん中で車にひかれてぼろきれのように屍をさらしています。まるでかつてインドのムンバイで目にしたホームレスの屍を思い出します。
ネコがその生涯を不安に思っているのかわかりません。しかし不安は自由であることの証。ただ、自由でいることの重さに耐えられるネコはこの世界に何匹いるのだろう、と思います。
ネコのリーダーはきついのでしょう。たまに路地でネコの集会をみます。しかし、いつのまにかリーダーが変わっています。ネコもリーダーで輝くものもいるし、傍らでそっとリーダーを見守りながらその組織を支えるものもいます。ネコもいろいろな種族があり、縄張り確保も命がけ。彼らの世界も楽ではないようです。
野の花を見よ、空の鳥を見よ。路地のネコを見よ。そこに見えるものは何でしょう。
元校長
松本 利勝