生徒はいつでも座席交換したい

f:id:careersg:20171027110752j:plain横浜の外交官の家 レトロな机が素敵

最近、私の教えている中学1年生の一部の生徒たちが授業が始まると「先生!座席交換してほしい」と叫ぶのです。理由を聞くとはっきりしません。どうやら、今の席だと嫌いな人が近いとか、仲良しの子と一緒にいたい、ということのようです。かなりわがままな理由でもあるのですが、わたしの返答。「いいですよ。ただし、次の授業までに、提案者が具体的な案を考えてきてください。そして次の条件を前提にしてください。座席を変えることで、おしゃべりが増えたり、誰かが孤立したり、寂しい思いをしたりしないような案であること」すると、生徒たちは、何も言えなくなりました。生徒たちの本音はとにかく「あの子がきらい。あの仲の良いあの子といたい。おしゃべりもしたい」ということだからです。こうして、少しだけ自分の気持ちをみつけます。

生徒たちは、学校と言う社会の中で、今人間として何が大切か必死に学んでいます。ですから、わたしたち大人は、その勝手な愛情、思い込み、そして道徳的な信念を生徒に押し付けてはなりません。子供に関わり、彼らと共に大人として自律的に悩む時こそ、私たち自身の人としての成長の時ですから。

生徒たちは今、夏休みが終わり、中間試験も終わり、文化祭の準備期間になり、かつ思春期の心の揺らぎが激しい時期を過ごしています。クラスの雰囲気も微妙でデリケートです。身長も伸び、心身共に成長するこの時期、健やかな反抗期を過ごしてほしいと願います。

わたしにとっては孫のようなこの子供たち。長年の教員経験。生徒の母親もわたしの大切な教え子であることもあります。先生たちも懸命です。何事も俯瞰して、冷静に大人の判断で学校という人間の世界を見守りたいものですね。

 

元校長

松本 利勝