朽ちるままに生かされて

f:id:careersg:20190215173915j:plain森の朽ちた木を生かす

f:id:careersg:20190215174053j:plain上田市の家具職人 大橋文博さん

日本人としての感性でしょうか。木をみると愛しくなります。金属も陶器も石もすべて素敵ですが、樹木の温かみ、その無限の豊穣がわたしの身体に染み入ってくるのです。

今、品川駅ちかくのグルッペという小さなスペースで上田市で工房を営む職人さんの木工家具作品がいくつか展示されています。窓からうっとりみとれていますと、中から「どうぞおはいりください」とお声かけ頂きました。大橋文博さんとその弟子、藤野智朗さんのお二人の作品。おふたりは自然の木、気に留めずにいればただ腐ちて土になるだけの朽ち行く木たちにそっと手を加えます。そのいのちが輝きほとばしるように。写真のランプのような照明器具は朽ちた味わい。まるで円熟した禅僧のような風情。

わたしたち日本人には、自然のあるがままの姿、その中にいのちを見出し、それを受容し、共感し、ついにはそのものと一体化する、という思想があるのでしょう。少なくともわたしはそのような考え方、生き方に魅せられます。

人は、どんな年代でも、たとえ病という自然に生きるとしても、すべての瞬間においていのちがほとばしるような輝きをもてる。朽ちた木から示唆された豊かな時でした。

わたしたちもいのちを生きたいと思います。

 

松本 利勝

国家資格キャリアコンサルタント

産業カウンセラー

元中高校長