不思議なことがあります。
わたしが、子どもの頃、映画やテレビドラマに登場するおじいさんたち、ご自身のことを「わし」と呼ぶことが多かったのです。当時、それはとても自然なことでしたが、65歳になった自分も、同世代の仲間たちも誰も自分を「わし」とは呼んでいません。これはたまたまなのでしょうか。
ところが、未だに映画やアニメに登場するおじいさんの一人称は結構な頻度で「わし」のような気がします。気のせいでしょうか。データをとると面白いかも知れませんが、現在の男性高齢者、一体どのくらいの人数がご自分を「わし」と呼んでるのでしょう。
尊敬してやまない某名誉教授もブログでは「ぼく」ですし、その他の友人たちもせいぜい「わたし」です。孫の前では、「おじいちゃんだよ」とは言いますが、孫に「わしはなぁ」とは言いません。
もし、どこかに、「わたし、俺、ぼく」から「わし」に変えた方がいらしたら、そのきっかけと何歳の時であったかを教えていただきたいものです。
たぶん、わたしは、ビジネスマナーの必要でない場面ではいつまでも「ぼく」と言い続けるでしょう。おじいさんは「わし」という一人称というステレオタイプイメージへの密かな抵抗。
松本利勝