ピラミッドの謎

古代エジプト文明の象徴、それはピラミッド。絶大な王の権力の証であると同時に、古代人の死への恐怖のそれでもある。我々人間が他の生物と異なるのは、いずれ死すべき有限な存在であることを知っていることである。だからこそ、権力者は、自らを神として崇めさせ、あるいは思い込み、永遠の生命、不死を得ようとした。

我々凡人は、権力も地位も経済力もない。ただ、せめて今という一瞬を大切に生きようと、多分無意識にそうしている。それはきっと正しいことでもある。

しかし、ふと身近な人、好きな芸能人が亡くなったりすると〔最近なら田中邦衛さん。「北の国から」の朴訥不器用で温かく五郎を演じる田中さんが大好きだった)我が身もいずれ死の世界に逝くべき儚い存在であることを思い出す。死への恐怖。まさにこの恐れの克服こそ、人生の最大のテーマである。

かつて神学の研究に没頭したのも、そのような思考傾向があったからである。

ある日、気づいた。死を恐れている自分を認めよ。どこかで自分だけは死にたくない、などという浅はかな自分がいても良いではないか。そのように、カッコ悪く無様に醜悪な病んだ身体を晒して死んでいくのも自然なことだ。

永遠の生命とは、実はそのように生きる、その在り方そのものであるだろう。

キャリアの最終段階は、きっとここに辿り着くような気がする。f:id:careersg:20210405002516j:plain