カウンセラーの心の中

カウンセリングには、メンタルヘルス系とキャリア系のふたつがあります。わたしは依頼先の要望に応じて、それぞれに対応いたします。カウンセラー資格とコンサルタント資格の使い分けです。しかし、どちらも基本は同じ人間としてのリスペクト、そして傾聴です。すべての技法はこの観点なくしてあり得ません。コーチング、メンタリングという領域でも同じだと思われます。

 

 しかし、これは簡単なことではありません。いろいろな現場でも回数を重ねて経験豊かだから、上級資格を持っているから、というところだけでは通用しない現実があるのです。

その意味で、わたしたち専門職は絶えず、真摯に研鑽を積んでいくことが必要であることを実感しています。

 

 過日、あるところで出会ったクライアントさんは、家族との不和、離婚、転職、病を持つ方でした。カウンセラーとしてその心の痛みに思いを馳せながら、傾聴し続けることは自分自身の心の深いところでも共振してしまい、痛みを感じました。冷静さを同時に併せ持つことは大変な作業でした。常に、人生とは何か、生きること、命を終えることについて考えざるを得ないのがこの仕事だと思います。

 

 多くの心理系の学問は一応、様々に分類されますが、しかしそれは思考するうえ、理論的視点から便宜上のことで、実際は一人の人間の中では、ごちゃまぜに混沌としているように思います。安易に哲学的、宗教的になることは時に、逃避、思考停止、カルト的にもなりますから十分に気を付けなければなりませんが、理屈を超えた、まるごと不完全な自分を受容してくれる存在を知ることも必要かもしれません。大自然の中で、また仏像の前で、あるいは十字架の前でわが身を冷静に見つめることなども必要かと思うのです。そのことを心に止めながらこれからもカウンセリングに向き合いたいな、と思う今日この頃です。