人生で求めたものは何ひとつ与えられなかった・・・

 

  大事をなそうとして
  力を与えてほしいと神に求めたのに
  慎み深く従順であるようにと
  弱さを授かった

  より偉大なことができるように
  健康を求めたのに
  より良きことができるようにと
  病弱を与えられた

  幸せになろうとして
  富を求めたのに
  賢明であるようにと
  貧困を授かった


  世の人々の賞賛を得ようとして
  権力を求めたのに
  神の前にひざまずくようにと
  弱さを授かった

  人生を享楽しようと
  あらゆるものを求めたのに
  あらゆることを喜べるようにと
  生命を授かった

  求めたものは一つとして与えられなかったが
  願いはすべて聞きとどけられた
  神の意にそわぬ者であるにかかわらず
  心の中の言い表せない祈りはすべてかなえられた
  私はあらゆる人の中でもっとも豊かに祝福されたのだ

 

    (米国NY大学付属病院リハビリセンターのロビーレリーフの詩。作者不詳)  

 

 人生は決してきれいごとではありません。とてつもない喜びー例えば子供が生まれた奇跡の時などーもありますが、耐えがたき苦しみの時ー例えば不慮の事故で父親が亡くなった時、また信じていた人からの裏切り、同時に裏切った時などーもあります。誰からも理解されない憤りもあるでしょう。他者の思いを理解できない悲しみもあるでしょう。赦しを求めても赦されない痛み、また赦せない苦悩もあるでしょう。人生は、不可解で混沌としています。しかし、人生は生きるに値します。

 

 これまでの36年間の教員生活で、卒業生たちに贈ったことばが、上記の詩です。なんと示唆に富む深い意味のある言葉でしょう。私自身も、この言葉に励まされてきたので、生徒たちにも伝えたかったのですね。今年の3月で中等教育で教えることは卒業。自分に贈る言葉もこの詩です。

 

松本利勝

国家資格キャリアコンサルタント

産業カウンセラー