虎にならないための冒険

中島敦の「山月記」と出会ったのは高校の国語の教科書でした。プライドを捨てきれずに世を嘆き、他人の成功を妬み恨み、いつしか虎になっていたという物語。私たちの本性を見事に活写していました。何故に高校生の私が魅せられたのか思い出せませんが、虎になるほどの取り返しのつかない己の醜悪さに気づかず、悔いる主人公の姿に涙したものです。

人生に悔いは残してはならぬ。そのように今、思うのです。たとえ悔いのように見えても、それはオーガニックな人生の糧になるとも。

 

過日、はじめて「ブルージンズ」をユニクロで買い求めました。これまでは、自分には似合わないであろう、と思っていたのですが、同僚のY氏が一度はいてみては?とすすめるので、それなら一度、と。すると、何と心地よい。しかも、お世辞とはいえ知人が「違和感はない」とも。というわけで、今は銭湯に行くときは「ブルージーンズ」になりました。

 

さらに、昨日、少しだけ時間が取れたので、初めて「異業種交流会」なるものに勇気を出して、えい!と参加してみました。65歳の高齢者なる自分がどのように反応するだろうか自己探索、と。まずネット検索でリサーチ。感染防止対策は前提。リーズナブルな新宿ルミネエストの喫茶店風の気楽なお店に。集まったのは6人。若い20代から40代の異業種の男女。わずか2時間ほどのお話会。自己紹介から始まり、流れで会話が進みます。目的はそれぞれでしょうが皆さん真摯でした。わたしは、好奇心。行動することで、偶然を引き起こすその偶然が私に何をもたらすのかは未知数の世界。しかし、すべてはこれからの私のキャリア形成に影響を及ぼすでありましょう。

 

この二つの出来事は、結果をネガティブに予想せず、まず「行動する。見て、聴いて、考え、次に進む」ことによる自分の精神性、身体性を研ぎ澄ます面白い志向でした。

 

さて、次は何に挑戦しましょう。思案中ですが、星空の美しい田舎町に出かけて、子どものころに見た煌めく満天の星、天の川は今でも、この自分がそのように見えるのか確認することかもしれません。虚空に咆哮する悲しみの虎にはなりたくないのです。

松本 利勝

国家資格キャリアコンサルタント

産業カウンセラー、教育カウンセラー

元中学校.高等学校 校長