森のカウンセリング

高校教員時代に軽井沢でキャンプの引率をしていた。軽井沢のすばらしい自然の中で自分をみつめるという体験型ワークショップ。夜明け前、希望者のみがキャンプ場の林に囲まれたファイアー・スペースに集まり、夜明け前の静けさと夜明けの森の色と目覚める音を聴くというプログラムは人気があった。草むらに寝転んで暁の空を観察する。紫ともオレンジとも言えない神秘的な色彩の変化に驚く。暁の森は沈黙の音。夜明けと同時に野鳥たちが少しずつ囀り始める。チュン・・・ピピ・・チュンチュン・ピピピピ。ざわざわ。生徒たちはどんな音が聞こえるか、数えてみる。10も聞こえる生徒は感性豊か。ミソサザエ、風が樹木をかすめる音、虫が目覚めて飛び立つ音。森の「サウンドマップ」づくりにも挑戦した。そして森にはいろいろな命の音があふれていることに感動する。

 

またあるときは、聴診器をもって樹木の声を聴く。またある時は、自然の中にある色を集めてみる。野の花、雑草、虫の羽・・・すると同じ色はこの世界には存在しないことに気づく。葉っぱ一枚一枚、みんな異なった色。いろいろに命の色。

 

カウンセリングも同じであると思う。ひとりひとりの声に耳を傾ける。心を空っぽにして、ただひたすらその人の心の声を聴く。それを「共感」と呼ぶ。それは間違った解釈だろうか。

f:id:careersg:20210719092508j:plain