授産施設での就労

一昨日、東京のある知的障害者の作業所に出向きました。私が役員をしているある法人にたまたま出入りするようになったAさんが、その作業所で就労していることがわかったからでした。Aさんの障害特性がその法人に集まる人々に対するハラスメントになり、また社会的に容認されぬストーカー的なものであるために対応を考える必要があったのです。法人の人々はAさんにあまり関わりませんが、心優しい人々なので無視もできず、どう接すれば良いか、判断に迷っています。

Aさんは壮年です。幼い頃から父親からの虐待を受けて育ちました。やがてイジメを受けるようになり、また、進級すると、障害児クラスに変わったそうです。中学をなんとか卒業し、いくつかの会社、施設で就労しますが、人間関係を作れず、長くは継続できず、最終的に受け入れてもらったのが現在の作業所です。現在は母親と2人暮らし。経済的には裕福で母親はかなりのお小遣いをAさんに渡し、Aさんはそれをほとんどお酒につぎ込みます。アル中になるほどに。因みに老いた母親も人間関係構築に困難さを抱えています。

その日、集まったのは私以外に行政の福祉課、地域支援関係の福祉施設スタッフなど計7名。それぞれ経験豊かな支援のプロでした。情報共有の大切な時間でした。これからAさんにどう関わるか、とても難しい問題です。

今回の経験から痛感するのは、私も含めこのような福祉の現場、労働環境の実態を知ることなくして、障害者の就労について語ることは出来ないということです。支援する人々と共に考えて行くことから次のステップを見つけて行くのがこれからの私の役割です。

まだ寒い風が吹きます。遠くに見える富士山が綺麗です。皆さん、また。

松本利勝

国家資格キャリアコンサルタント

産業カウンセラー

元校長